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【2025年3月期決算】GC注記・重要事象を記載した企業は66社、コロナ禍の影響はほぼ消滅へ

2025年3月期決算において、上場企業2,300社のうち、「継続企業の前提に関する注記(GC注記)」を記載したのは21社、「継続企業に関する重要事象」の記載は45社、合計66社となりました。これは前年(78社)より12社減、コロナ禍ピークの2022年(94社)からは3割減少です。


コロナの影響、もはやほとんどゼロに

注目すべきは、GCや重要事象の記載理由に「新型コロナウイルスの影響」を挙げた企業が、たったの1社だったこと。2021年には46社がコロナを要因に挙げていたことを思えば、企業環境は大きく好転しています。


一方で、苦戦する企業の構図は明確に

GC注記・重要事象の記載理由を見ると、圧倒的に多いのは「本業不振(58社)」です。売上減、コスト増、営業キャッシュフローの赤字などが背景にあります。その他、「資金繰りの悪化」「財務制限条項の抵触」「債務超過」といった財務面の懸念も目立ちます。


記載企業の業種と上場区分

業種では「製造業(23社)」「小売業・情報通信業(各13社)」が上位を占め、3業種で全体の7割超。上場区分では、東証スタンダード(37社)と東証グロース(21社)で全体の9割弱を占め、老舗の中堅企業や新興企業の苦戦が際立ちます。


記載の復活も目立つ

今回、新たにGC注記や重要事象を記載した企業が17社、そのうち過去に一度記載を解消したが、再び記載するに至った企業が8社ありました。つまり、景気が戻っても再建が一時的だった企業も多く、不安定な経営状況が露見しています。


GC注記・重要事象は“経営危険信号”のバロメーター

倒産こそ少ないものの、GC注記や重要事象の記載は、上場企業でも決して安泰でないことの表れです。特に中堅・新興企業では、人件費や原材料費の高騰、価格転嫁の困難、人手不足といった構造的課題に直面しており、今後も「記載の増減」は経営リスクの早期指標として注視すべき要素と言えるでしょう。

 
 
 

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